病院で家族からクレーム。対応は?現役看護師が事例を入れて解説。
2018/06/15
病院に入院すると、いろんな医療職の人がいて、多くの人と関わると思います。
その中でも、病棟にいる看護師は患者さんの1番近くにいます。
その看護師だって一人ではなく、日勤、夜勤と人が変わり、朝にはまた違う看護師が受け持つ。なんてこと当たり前です。
関わる人が多くなると、難しくなるのが「意思の疎通」です。
特に患者さん本人や、ご家族の気持ちを汲むことができていないと、患者さん本人、ご家族に不快感を与えてしまったりします。
それを指摘されたことを「クレーム」ととるか、理不尽な内容を「クレーム」ととるかは個人差があると思いますが、
今回は、患者さんのご家族とのやりとりを踏まえ、クレームの対応について話したいと思います。
ご家族の気持ち
うちの病棟は重心病棟で、超慢性期の方ばかりが入院しておられます。
なかなかお見舞いに来られるご家族が少ないですが、そんな中でも、週に2.3回は、必ずお見舞いに来られるご家族の話です。
患者さんの肌が一部、赤くなってしまった時がありました。摩擦が原因だと考えられます。
そのご家族は頻繁に会いに来られていますから、その変化にすぐに気づきました。
母「ちょっと痛そうです。本人も痛がってるみたいだし、、、」
看「こーゆー風に処置したり、ケアしたりしているんですけどね。」
母「、、本人も痛がってるし、早く良くなってほしいです。」
看「でも、こういう風に処置もしていますし、本人も動きますからねぇ。」
、、、ここからお母さんは怒りました。
「なんのためにこの子の近くにいてくれているのかわからない。」
「なぜそのような態度で話されないとダメなのか。」
などなど。
うちの病棟は患者さんの入れ替わりがなく、長く入院される方が多いので、ご家族との付き合いも長くなります。
ですから、なかなかこんなにオープンに思いを発してくれるご家族も少ないです。自分の家族を預かってもらっているという負い目からなのかもしれません。
だけど、このお母さんは怒りました。全ては子どものために。
当たり前ですよね?不都合なことを訴えているのに、受け入れてもらえないんですから。
どんな対応なら良かったのか?
多分先ほどのやりとりを見てもらっただけでも、これはマズイだろ。。と気付いてくれる方もいると思いますが。
僕がツッコミたいのは、
「でも」という言葉です。
僕は以前、接客業をしていましたが、この「でも」は、かなり気をつけて使わねばいけない言葉でした。できる限り使いたくない。
なぜなら、ほとんどの場合で相手の気持ちを逆撫ですることになってしまうからです。
「でも」というのは、
「その意見は違う。反対です。」
という意味に取られることが多いからです。
医療の現場では、もちろん医療職とご家族で考え方が違う事はよくある事だと思います。その場合、説明するときに「でも」を使うことはあるでしょう。
だけど、その前にやることがあります。
受容と共感
この事例に出てきた看護師には、この「受容と共感」がありませんでした。
「そうですね。痛そうですね。」
「確かに、早く良くなってほしいですね。もっといい処置がないか、先生に聞いてみますね。」
など。意見受け入れることで相手の話が伝わっていることも感じてもらえます。
、、ぶっちゃけ、看護師の気持ちの問題な気もしますけど。笑
良好な関係を築くことが、今後のケアも良好にする。
今振り返ってみると、このお母さんはかなり気を使って話していたように思います。
本当はすぐにでも対応してほしい。。
でも今後のこともあるし、どのように伝えようか。。
なんて、考えながら話していたんではないでしょうか。
こんな風に思いを伝えてくれるご家族はそんなにいません。とても貴重です。
僕ら医療職者が、それとどのように向き合うかで、今後の患者さんに対するケアの質にも大きく関わってくるのではないでしょうか。
「受容と共感」まずはしっかりと思いを聴くこと。これがとても大切だと感じた出来事でした。